ガソリン減税、給付付き税額控除…高市総裁が物価高対策に意欲も「国債の発行はやむを得ない」財源の確保は?【Nスタ解説】|TBS NEWS DIG

高市総裁への期待から、株価や金利が大きく動いています。
その期待の後に控える実際の経済政策で、私たちの暮らしはどう変わるのでしょうか。

■高市総裁の物価高対策「給付付き税額控除」とは?

高柳光希キャスター:
自民党の高市総裁は、様々な物価高対策、経済政策に意欲を示しています。

【高市総裁が掲げる主な物価高対策】
▼ガソリンの暫定税率廃止
▼“年収の壁”引き上げ
▼給付付き税額控除

9月30日から、自民・公明・立憲民主の3党の政調会長による協議が始まりました。

「給付付き税額控除」とは、所得(年収)に応じた給付を与えることを想定していますが、具体的にはどのような政策になるのでしょうか。

TBS報道局経済部 蓮井啓介 記者:
これまで物価高対策の支援といえば、コロナ禍の一律10万円給付や、住民税非課税世帯などの低所得者に向けた支援しかありませんでした。

今回は、働いていても苦しい世代を支援したいというのが主な目的です。
あくまでもイメージですが、例えば、年収200万円~400万円の人には10万円を給付、平均年収より上の600万円の人ならば5万円、800万円以上の余裕がある人は給付しないというような制度です。

ただこれには、所得を把握する作業が必要になるので、制度設計に相当時間を要し、約3年はかかるのではないかと思われます。

井上貴博キャスター:
制度設計に時間がかかるので即効性はないかもしれません。しかし、今までの住民税非課税世帯へのアプローチは、ご高齢世帯も多く、保有資産もあるので、中間層世代に対してきちんとアプローチしていく意義は大きいと感じます。

俳優・タレント 大和田美帆さん:
シングルマザーや、働きたいけど様々な事情で働くことができない方たちには、とても良いと思います。

「公平とは何か」というところが難しいですが、働いても苦しいという人に対しての支援は良いと思います。

ただ、自営業やフリーランスの線引きがどうなるのかは気になります。

蓮井啓介 記者:
ちょうど自民・公明・立憲民主の3党で協議が始まったところなので、目的や制度の枠組みについては、今後議論が必要になると思います。

■3兆円以上の財源が必要か 高市氏「国債の発行やむを得ない」

高柳キャスター:
実現までに3年かかると言われる「給付付き税額控除」は、まだ財源が決まっていません。

早い時期の実現を目指す、▼「ガソリン・軽油の暫定税率廃止」関しては、1.5兆円規模の財源が必要になります。そして、▼「“年収の壁”の引き上げ」に関しては、国民民主党が求める最大178万円まで引き上げる場合は、最大で1.7兆円規模の財源が必要になります。

2つ合わせるとその財源は3兆円以上になりますが、どのように確保するのでしょうか。

蓮井啓介 記者:
「ガソリン・軽油の暫定税率廃止」に関しては、自公・野党6党合わせて議論をしています。8月中に5回議論しましたが、代替財源の部分で折り合えない状態が続いています。

「“年収の壁”の引き上げ」に関しては、どれぐらい引き上げていくかによって税収減が変わってきます。

この財源をどうするかが今後問題になると思います。

高柳キャスター:
協議が平行線をたどる中、高市総裁は総裁選の中で、「どうしてもいうときは国債の発行はやむを得ない」という発言がありました。その場合は生活にどのような影響が考えられるのでしょうか。

蓮井啓介 記者:
国債は、いわゆる「赤字国債」です。赤字国債を発行すると、一般的には円安が進み、ガソリンや燃油、食料品といった輸入物価の高騰につながり、せっかくの物価高対策が、結局また物価高に繋がってしまいます。

「アベノミクス」のときは、デフレから脱却するための財政出動でしたが、今はインフレの中の物価高対策になるので知恵は必要です。国債に頼りすぎると後々大変になると思います。

経済官庁の幹部からは「財源を先送りしていくと、マーケットから見放される」という声も聞こえてきます。

■人事も重要 代替財源を見つけられるかが試金石

井上キャスター:
高市総裁は「責任ある積極財政」という言葉をよく使っており、最終的には「財政規律をしっかりと見届けていきたい」とバランスをとった発言に終始していたイメージがありますが、どこまで踏み込めると感じていますか。

蓮井啓介 記者:
「税制改正論議」というのが毎年年末に行われますが、代替財源を見つけられるかは、一つの試金石になると思います。今後出てくる財務大臣人事や、党の税制調査会のメンバーなどの人選も必要になってきます。それ次第というところもあると思います。

出水麻衣キャスター:
高市政権を支える人たちの様々な顔ぶれが出てきていますが、現状、足並みが揃いそうだと感じますか。

蓮井啓介 記者:
それがなかなか難しいところで、もう少し取材していかないと見えてこないと思っています。

井上キャスター:
税制調査会の会長の宮沢洋一氏は財政規律派で、高市総裁とは意見が合わないのではないかと、結局退任されたので、その人事も注目ですね。
…(https://newsdig.tbs.co.jp/list/article?id=jnn-20251007-6264722)

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