経理代行会社を事業売却するオーナー。税金対策と売却益を使った運用方針とは

【今回の内容の要約】
現在の状況と売却益の運用に関するご相談の概要。
今回のご相談は、現在2つの会社、具体的には経理代行会社と税理士法人を経営されているオーナー様からでした。そのうち経理代行会社を8億円で事業売却することをご検討されており、税金控除後には手元に約6億円の資金が残る見込みだと伺っています。オーナー様は既にNISAや個人での不動産投資もされていらっしゃいますが、このまとまった資金をどのように運用していくのが最適か、という点が主なご相談内容でした。
特に、10年後には現在6歳になる息子様のために海外の土地を購入したいという明確な目標があるとのことです。ただ、オーナー様ご自身が会社員でもあり、副業禁止規定があるため、新しく設立する会社の代表にはなれないという制約がある点が課題でした。
私からの資産運用に関する具体的な提案
私としては、オーナー様が手にする売却益と、現在所有されている個人不動産を**集約して運用するための「資産管理会社の設立」**をお勧めしました。この資産管理会社は、不動産投資や株式投資を行うための器となり、将来的に新たなビジネスを展開したり、息子様のための海外土地購入といった目標を達成する上での強力な基盤となると考えています。
資産管理会社のメリット、特に相続対策について
資産管理会社を設立することの大きなメリットは、単に資産の一元管理ができるという点だけではありません。特に、将来の「相続対策」として非常に有効だと私はお伝えしました。具体的には、息子様を早い段階、例えば小学生の時点でも会社の株主(例えば30%〜50%)にしておくことで、会社の純資産が不動産の賃料収入や株の収益によって増えていった際に、その増えた分が追加のコストをかけずに息子様へ帰属する形になるため、将来の相続税対策に繋がるのです。これにより、時間をかけて効率的に資産を次世代へ移転させることが可能になります。
代表者に関する課題への対応策
オーナー様が会社の代表になれないという点については、私からいくつか具体的な解決策をご提案しました。例えば、お母様や弟様、あるいは親族以外の男性を代表に据えることが可能です。代表者の選任や解任の権限は株主であるオーナー様が握っているため、たとえ親族以外の方を代表にしても、私としてはリスクは非常に低いと考えています。
また、非常に重要な点として、勤務先の副業規定について詳細を確認することを強くお勧めしました。というのも、多くの企業では、親の資産管理会社の代表を兼任するといったケースは、副業規定の例外とされている場合が多いからです。これは、例えば親が地主で資産管理会社を営んでおり、その承継が必要になった場合などに、サラリーマンである子が代表になれないというのは不自然である、という考え方に基づいています。もし確認の結果、問題がなければ、オーナー様ご自身が代表を務めるのが最も自然であり、望ましい形だと私は考えています。
今後のステップ
最終的に、M&Aが成功し、実際にまとまった資金が手元に入った際には、改めて詳細な相談に応じて、資産管理会社の設立を含めた具体的なアドバイスを提供できるとお伝えしています。その際は、ぜひ再度ご相談いただければと思います。
【プロフィール】
小屋 洋一(こや よういち)
J-FLEC(金融経済教育推進機構)認定アドバイザー
株式会社マネーライフプランニング 代表取締役
〜過去のご相談事例〜
・M&Aで会社を売却した後の金融資産運用
・早期退職と違法物件売却
・上場会社の自社株を持つ夫婦のライフプランと資産運用
・不動産相続と活用
・勤務医師のライフプランと資産運用
・独身女性の不動産購入に関するご相談
・親が資産家で早めに相続対策をしたい
・移住後も資金を減らさずに生活したい
・今後のライフプランから考える、退職金の受け取り方。
・家業を清算した後の老後の資産運用
・養父からの資産をできるかぎり毀損させずに引き継ぎたい
…etc
▶️経歴
2001年:慶應義塾大学経済学部卒業
2001年:株式会社興銀リース(東証一部)入社
2004年:株式会社ジ・アース(旧社名IDU、東証マザーズ)入社
2008年:株式会社マネーライフプランニング設立
▶️主なTV出演
2013年2月:テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」
2013年5月:NHK「NEWS WEB」
▶️主な著書
『35歳貯金ゼロなら親のスネをかじりなさい』(すばる舎リンケージ)
『くらしの相続Q&A~もめない相続のために』(新日本法規 共著)
『いわゆる「当たり前の幸せ」を愚直に追い求めてしまうと、30歳サラリーマンは、年収1000万円でも破産します。』(東洋経済新報社)
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